「九谷焼」とは石川県南部の金沢市、小松市、加賀市、能美市で作られている、日本を代表する色絵陶磁器。その魅力はなんと言っても華麗な上絵付けにある。石川県小松市の九谷焼の名跡・德田八十吉さんは1997年に三代目が人間国宝に認定され、その秘伝の技を受け継いだ長女は2010年に四代目を襲名。今回紹介する作品『彩光』は、その四代德田八十吉さんが襲名にあたって創作した、記念すべき傑作である。
透きとおるような純白の磁器肌に降りそそぐように、青と緑、黄色の三彩が奏でる優麗なハーモニー。澄んだ瑠璃色から深い紫紺、そして翡翠色へと変わっていくグラデーションは、見る者の視線を釘付けにする鮮烈でみずみずしい美しさを湛えている。人間国宝である父から薫陶を受けた、青手古九谷の色釉の美を極限まで高めた秘伝の技に、独自に研究を重ねた釉表現。さらには女性的な優しさの漂う典雅な趣。四代目の真骨頂と呼ぶにふさわしい九谷焼の傑作である。
このような名品を所蔵し、自宅に飾ることは、まさに至上の贅沢。日々の眼福として愛でてほしい。
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表面には九谷焼特有の貫入も現れる。
その模様は二つとして同じものはない。
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高台の中央には四代德田八十吉さんの銘が入る。まぎれもない真作の証である。
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作者直筆の箱書きが添えられた桐箱に入れてお届け。さらには黒檀調の飾り台も付属するので、収納も設置もすぐにできる。
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四代
德田八十吉さん
九谷焼の人間国宝・故三代德田八十吉を父にもつ四代德田八十吉さんは、2010年にその名跡を継承。現代美術展や朝日陶芸展、日本伝統工芸展など、さまざまな入選歴を持つ陶芸家である。
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ろくろ引きによる口縁部の繊細な成形。可能な限り薄く、なめらかに仕上げるのも四代德田八十吉さんの作風である。
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四代德田八十吉さんの綿密な構成、配色にもとづいて色相や濃淡の変化を塗り分けていく。