小学館イマージュ
上村松園「春」
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流れるように美しい線。そして独特の深みのある色彩。「近代美人画」を完成させた、巨匠の描く理想の美の世界。
天才画家・上村松園は、日本画に〈美人画〉という一つのジャンルを築き上げて、女性初の文化勲章受章の栄誉に輝いた。近代日本画の歴史に不朽の名をとどめ、「松園の前に松園なく、松園の後に松園なし」と評された巨匠だ。
画伯の理想の女性美を追求し、女性の内面のこまやかさまでも描き綴った『春』。あたたかい春のひととき。艶やかな衣装に身をつつんだひとりの女性の姿。舞い落ちる桜。花びらを見つめているやさしげな貴婦人のこころの内面までも描き尽くしているところに松園芸術ならではの技。この名品を没後五十年を機に精緻なリトグラフの技法で限定制作。後世に名を残す巨匠の巧みな技を堪能いただきたい。
今回は、松園美人画を格調高く彩る高級感のあふれる額装と高級裂地を生かした高雅な軸装を用意。
また本作品は、松園の息子で花鳥画の巨匠、上村松篁画伯の許可と孫で現代花鳥画の第一人者として活躍されている上村淳之(あつし)画伯の厳密な監修のもとに、上村家三代の記念作品として制作された。制作過程では、原画所蔵館の住建美術館での原画校正を行ない、原画のもつやわらかな色合いと、緻密な描線を極限まで忠実に再現した。
このようにして制作された本作品の一点一点には上村松篁画伯の落款と淳之画伯の自筆の限定番号が入れられる(額装は画面右下余白に落款、左下余白に限定番号。軸装は限定番号入り証書を軸裏上部に貼付。桐箱蓋裏に松篁画伯の落款を押印)。これにより本作品が上村家の監修と特別許可をうけて厳密復刻された限定美術品であることを証明している。是非この機会に稀少価値の高いリトグラフ「春」をお手許でこころゆくまでお楽しみいただきたい。
【松園の「春」について】
松園の代表作とされる大作のほとんどは、謡曲に取材したもので世阿弥の創り上げた人物像を更に自己の解釈を加えて描き出したものである。浮世絵を基としながらも風俗画に堕する事なく、女性の理想像、その内面を描こうとしたところに松園の画業はあった。
「春」は上流の女性の外出する装いであろうか、地味ながらこまやかな女性のおしゃれがうかがい知れる。実は松園自身があこがれつつ画人として捨てきらねばならなかった女性として華いだ人生への憧れ、或は願望を描いたものであろう。若い頃、近所の娘さん達にいろんな髪形を結ってあげるのが楽しみであったと語っているが、松園の描く髪形は様々でおしゃれな創意である。
私が少年の頃、雨後の庭石をじっと眺めている姿に『おばあちゃん何してるの。』と聞いた。『あのぬれている型が髪形にエエなーと思って見ていたんや。』とにこにこしながら答えた姿を今以て鮮明に記憶しているが、形に依って表現していく絵画の世界に生きる者として、当然といえば当然ながら、あらゆる現象に対して敏感に反応し、造形感覚を磨く姿勢を知らされるのである。
(日本画家 上村淳之/本品解説書より抜粋)
【上村松園・うえむらしょうえん(1875年~1949年)】
京都市四条御幸町に、上村家の長女として生まれた。幼少の頃より絵画を愛し、12歳で京都府画学校に入学。わずか15歳にして第3回内国勧業博覧会に「四季美人図」を出品、英国コンノート殿下の買い上げとなり、松園の名は一躍全国に知られることとなった。
以降、天賦の才を開花させ、「娘深雪」「志ぐれ」といった美人画の秀作を次々と発表。昭和11年、新文展の招待展に「序の舞」を出品。政府買い上げとなる。昭和15年、本作品「春」を制作。昭和21年には第1回日展審査員となり、昭和23年、女性として初の文化勲章の栄誉に輝く。昭和24年、享年74歳で永眠。
明治、大正、昭和にわたって美人画に命を捧げた生涯はまさに天才画家の名にふさわしく、没後70年以上経た今も人々を魅了し続けている。