刺繡ロゴはスカートのひだや野菜を入れたカゴなど、ディテールを再現。
こちらもロングセラーを誇るウールのトップス。シンプルであるからこそさまざまなコーディネイトに取り入れやすく、色違いでそろえておきたい必須アイテムだ。
体のラインをしなやかに見せる丁寧な縫製や、程よい首のあき具合が質のよさをうかがわせる。ウールのしっとりとなめらかな肌触りが気持ちよく、ずっと着ていたくなる快適さだ。冬はインナー、春は一枚で着こなして。
登山家の田部井淳子さん
(1939~2016)。
生涯76か国の最高峰・最高地点の登頂に成功。女性が登山をする新しい時代を築いた。
近年、高機能性と着心地のよさで注目が集まるアウトドアウェア。とりわけ、女性向けアウトドアウェアの先駆けともいえる「Junko Tabei®」は、登山家・田部井淳子さんのオリジナルブランドとして平成10年(1998)に創立。「素材のよいアウトドアウェアを山でも街でもおしゃれに着たい」との願いから誕生した。
女性で初のエベレスト登頂昭和50年(1975)に世界最高峰のエベレスト登頂に成功した田部井さんは、世界初の女性登頂者としてその名を馳せた。さらに、平成4年(1992)には7大陸最高峰登頂も達成している。晩年は闘病しながらも、東日本大震災の復興応援として東北の高校生との富士登山プロジェクトに力を注いだ。平成28年(2016)、同プロジェクトで富士山の元祖七合目まで登り、頂上へ向かう高校生たちを送り出したのが、人生最後の登山となった。同年、77歳で亡くなるまで、登山の素晴らしさを伝え続けたのである。
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エベレストの頂上に立つ田部井さん。エベレスト日本女子登山隊 副隊長兼登攀隊長として挑み、見事に女性初の登頂を果たした。
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平成4年にオセアニア大陸最高峰のカルステンツ・ピラミッド(4884m)の頂上で笑顔を見せる田部井さん。
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東日本大震災の復興応援プロジェクトで東北の高校生と富士登山。「一歩一歩あきらめなければ夢は叶う」と子供たちを励ました。
渾身のオリジナル素材開発「Junko Tabei®」を手がけるのは、一貫して日本製の服を作り続けるアンジェリカ。かつて、アウトドア業界では、女性は男性用の小さいサイズを着るのが一般的で、デザインも定番のものばかりだったという。しかし、アンジェリカでは時代に先駆け、タックやギャザーの入った女性向けのアウトドアウェアに着手。それが田部井さんの目に留まり、ともに女性のためのアウトドアウェアを開発することになった。
こだわったのは、何よりも素材のよさ。山の厳しい環境下でも快適に過ごせるようにと、高性能なオリジナル生地を開発。オールシーズン着用できる天然ウールのシャツなど、さまざまな人気アイテムを生み出した。
さらに、ものを落としにくいファスナーポケットや小物を出し入れしやすい胸ポケットの採用など、使い勝手のよさも魅力である。
田部井さんが何度も試着を重ねて完成させた品々は、快適で心地よい、女性のための逸品である。