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柳宗理・ステンレス片手鍋

カテゴリ | 名作デザインの裏側

2015/3/10

柳宗理・ステンレス片手鍋

戦後の工業デザイン界を牽引した、渡辺力と柳宗理。彼らの事務所にかつて所属し、巨匠の薫陶を受けた2人のプロダクトデザイナーに、当時の開発秘話を聞いた。

デザインは姿形を決めることではない 使い勝手を検証し、追究していく作業

「用の美」は、民藝運動の創始者、柳宗悦が好んで使った言葉だ。その長男、柳宗理は、工業製品における用の美を追い求めた。
「初めて柳先生の事務所を訪問したときは驚きました。先輩方がひたすらモデル(模型)作りに取り組んでいるんです。スケッチやレンダリング中心のデザイン教育を受けていた私にとっては、異質の世界が広がっていました」
ヨシタ手工業デザイン室の吉田守孝氏(49)は、大学卒業後柳工業デザイン研究会へ入所。スタッフのひとりとして20年以上にわたり、柳宗理の仕事を支えた。
「デザインの仕事というと、一般の人は色や形を決めることだと思われるかもしれませんが、それはほんの一部です。実際、柳先生はスケッチを描くことはほとんどしませんでしたね。モデルを作って何度も何度も使い勝手を検証する。使い勝手を突き詰めた先に用の美が現れるという考えなんです」
まさに工芸品のような地道な作業の積み重ねを経て、最終的なフォルムが完成する。ちなみに片手鍋の場合は、企画から製品化まで3年以上の期間が費やされている。
「片手鍋は先生が’60年代に手がけたアルミの片手鍋をステンレスでリデザインしたものです。その後の製品化されたフライパンは、ステンレスの片手鍋がベースになって生まれました」
片手鍋、フライパンとも、左右が張り出した独特の形に目が行くが、吉田さんは「本体よりハンドルのデザインに苦労した」という。
握りやすい形、大きさ、取りつけ角度など、少しでも設計が狂うと想定どおりの使い勝手にならないため、最終サンプルが完成してからも修正作業を行なったそうだ。
「調理中の動作だけでなく、洗ったり、しまったり、あらゆる動作を検証します。先生からは『手のサイズが違う女性スタッフにも試してもらって意見を聞きなさい』とよくいわれました」
吉田さんは2011年に柳工業デザイン研究会を辞め、独立した。
「入会当時、先生の年齢は70歳を過ぎていましたが、デザインにかける執念はすさまじかった。納得できないところがあると、平気でひっくり返してしまう。今の私が先生のように引き返す勇気を持つのは至難ですが、時間をかけ、よりよいものを目指す姿勢は見習いたいと常に思っています」
  • 柳宗理・ステンレス片手鍋

    片手鍋の製作風景。新潟・燕三条の熟練工の手作業によって丹念に磨き上げられる。

  • 柳宗理・ステンレス片手鍋

    片手鍋の原寸大モデル。石膏型で作られている。写真は最終形だが、この状態で繰り返し、使い勝手を検証する。

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