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BAR CINEMA~この映画に乾杯!(第4回)『刑事コロンボ 別れのワイン』 ――バーガンディとクラレット ~ワインはムダなもの?それとも人生をかけて追い求めるもの?

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2014/3/18

BAR CINEMA~この映画に乾杯!(第4回)『刑事コロンボ 別れのワイン』 ――バーガンディとクラレット ~ワインはムダなもの?それとも人生をかけて追い求めるもの?

第4回:刑事コロンボ 別れのワイン
――バーガンディとクラレット
~ワインはムダなもの?それとも人生をかけて追い求めるもの?

BAR CINEMAへようこそ。

このバーでは、皆さまの記憶に残る映画の名シーンを彩った素敵なお酒を、映画の時代背景、お酒の由緒・成り立ちと合わせてご紹介し、ご賞味いただきます。

バーガンディ=フランスを代表するワイン生産地のひとつ、ブルゴーニュのワイン。この地方のワインは瓶がなで肩なのが特徴。
これはシャルル・ノエラという生産者の「ロマネ・サンヴィヴァン」1972年。ピノ・ノワールという黒ブドウ100%で造られたもので、40年以上の熟成を経て、色は明るく、グラスの周縁部はオレンジがかっている。
今回の撮影の記念に、私の誕生ビンテージを空けました。香りは果実味豊かで少々火薬のようなスパイシーさもあり、味は完熟したスモモ、そしてイチゴのニュアンスを感じました。1972年はいいビンテージではないので、空けてから時間が経つと元気がなくなっていきました……。

It’s too expensive to drink and I can’t afford it.
But life is short, Karen, life is painfully short.

ワインをテーマにした映画には『フレンチ・キス』(1995年日本公開、以下同)、『サイドウェイ』(2005年公開)、『プロヴァンスの贈り物』(2007年公開)など、数々ありますが、今回はあえてテレビ映画である『刑事コロンボ』を取り上げます。

『刑事コロンボ』は皆さん、当然ご存じのことしょう。
よれよれのレインコートに安物の葉巻、そして吹き替え版での「うちのかみさんがね……」という台詞。ピーター・フォーク演じる、冴えない刑事が鋭い洞察力と直感で犯人を追い詰めていくミステリードラマです。

1968年にアメリカで放送が開始され、シリーズ全45話(新シリーズを除く)ありますが、ここでご紹介するのは中でも傑作の誉れ高い19話「別れのワイン」(1973年放送)。この回の主人公とも言えるワイナリー経営者エイドリアン・カッシーニ(ドナルド・プレザンス)のワインへの情熱とその見識、テイスティングの能力はすさまじく、それゆえに悲劇が起こります。

エイドリアンには、母親が異なる弟リック(ゲイリー・コンウェイ)がいて、ワイナリーの権利はリックが相続していた。カーレースやスカイダイビング、スキューバダイビングなどに明け暮れ、3回も結婚と離婚を繰り返すなど放蕩三昧のリックは、4度目の結婚のために金が必要だからと、エイドリアンにワイナリーを売却すると通告する。
実際に経営にあたっていたエイドリアンはそれが許せず……。

事件は皆さんの想像通りに展開していきますが、それもこれも、エイドリアンが「ワイン一筋の人生」を送っていて、何人たりともワインをないがしろにすることが許せないため。

ニューヨークで開かれたワインオークションでは、秘書のカレン(ジュリー・ハリス)の制止も聞かず、「カリフォルニアが合衆国の州になった年」(1850年)のワインの競りに手を挙げます。この時の競売人の台詞がふるっています。
You’re not buying a wine, you’re buying a bottle of history.
(ワインというより、歴史と申せます)
この言葉を受けて、エイドリアンが秘書に語ったのが冒頭の英語の台詞です。
――高すぎるし 私には無理だ。だが人生は短い。悲しいほどに短いのだ。
5000ドルで落札したワインを、エイドリアンは帰りの飛行機の中、まるで赤ちゃんを抱くように胸にかかえて運びます。
ちなみに、放送された1973年はドルが変動相場制に切り替わった年で、一時ドルは260円くらいまで下落しました。その為替レートで計算しても、このワインは130万円。当時の大学初任給が約5万7000円だったので、約2年分の年収に相当します。コロンボも「親父の1年分の給料より高い」と驚いていました。

オフィスを訪れたコロンボにワインを勧める際も、「葉巻はご遠慮願えませんか……(中略)……葉巻の香りはワインの味を損なうのです。“よいワインにはよい葉巻を”これは邪道で互いに損なうと思います」と持論を語ります。
昼食の前にはワインのコルクを空けて「2時間半息づかせます。ボトルからデカンターに移して呼吸させるんです」。
この作業を「デカンタージュ」といいますが、エイドリアン曰く、「ここで1つ間違うと大変なことになる。他人には決して任せません」。
昼食にもかかわらずこの手間暇。エイドリアン、かなり面倒な男です……。
  • BAR CINEMA~この映画に乾杯!(第4回)『刑事コロンボ 別れのワイン』 ――バーガンディとクラレット ~ワインはムダなもの?それとも人生をかけて追い求めるもの?

    デカンタージュは、ワインのオリを取り除くため、味わいがまだかたいワインを空気に触れさせて開かせるために行います。そのままボトルからデカンターに移すこともありますが、今回はドラマでやっていたように、ワイン用のろうとを使ってやってみました。これを使うと、ワインがろうとから出る時に拡散され、空気に触れる割合が増えます。

  • BAR CINEMA~この映画に乾杯!(第4回)『刑事コロンボ 別れのワイン』 ――バーガンディとクラレット ~ワインはムダなもの?それとも人生をかけて追い求めるもの?

    クラレット=フランスを代表するもうひとつの地域、ボルドーのワイン。瓶の肩が高く、側面が直線なのが特徴です。ボルドーには5大シャトーと呼ばれる偉大なワインがあり、これはそのひとつの「シャトー・ラトゥール」1998年。前出のブルゴーニュワインと比べて色味が濃いのがわかるはずです。
    その色の濃さからは想像もできないくらいのエレガントな香り。しかしそれが徐々に男性的になっていく。少しのケモノ臭、炭火を起こしたような香りと、最初のエレガントな香りが行ったり来たりして……何とも楽しい!
    味はまず力強いストレートボール。その次に緩やかなカーブ。ぶどうの皮のようなタンニンが感じられ、その後すぐにベリー系の果実味。時間が経つと段々ベリー系のニュアンスが強くなっていく感じがしました。

酒を彩る器

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