大変なご好評を頂き、100冊(3月10日19時時点)の予定数に達したため、急遽追加販売枠をご用意致しました。


お届け時期につきましては、8月下旬~10月下旬より順次お届けとなりますのでご了承の上、ご注文手続きにお進みください。

追加販売分につきまして予定数を達したため、予定より早めとなりますがお申込み受付を終了致しました。(3 月 31 日 12 時時点 )
来年も検討をしておりますのでご期待頂けますと幸いです。

「きみの名前がひける国語辞典」誕生秘話

辞書編集室では『小学館 はじめての国語辞典』に付いている愛読者はがきによるアンケート調査を行なっており、読者がこの辞典でよく調べた言葉を集計している。「その中で、一見なぜ調べられているのか、わからない言葉があったんです」と語ってくれたのは小学館辞書編集長の大野美和さん。よく調べられている言葉には「愛」など、納得の言葉が多くある中で、なぜ「林」という言葉が入っているのか不思議だった。「調べてみると、その言葉を引いていたのが『林さん』だったんです。自分の名前を調べているお子さんが結構いることに気づきました。そして実は『愛』もお名前だったりしました」と大野さん。そこで国語辞典に個人の名前を入れることを思い立ち、大日本印刷に相談したところ、「小部数向きのオンデマンド印刷なら可能」という返事だった。そうしてこの『きみの名前がひける国語辞典』の企画がスタートしたのだ。

「お客様の原稿を確認するのは、
ラブレターを読んでいるような気持ちです」

「お客様の原稿を編集していると、この世には、こんなにたくさんの想いがあると気づかされます。自分の名前が入っている辞書は大人になっても大切に持ち続けると思います。愛する子供への想いの丈を綴ってほしいです」と、小学館・辞書編集室編集長の大野美和さん。

小学館・辞書編集室編集長
大野 美和 (おおの みわ)
1976年高知県生まれ。小学館・辞書編集室編集長。パソコン関連誌の出版社を経て2002年入社。
テレビ情報誌や『プチコミック』などを経験後、2009年より辞書編集部在席。担当した主な辞書は『ドラえもんはじめての国語辞典』『小学館はじめての国語辞典』『小学館はじめての漢字辞典』『例解学習国語辞典第九版』『新選国語辞典第十版』『新選漢和辞典第八版新装版』など。
小学館の「知と学びのインフラ」を 支える編集者のプライド「学ぶ楽しさ」の土壌を作る!
辞書はこわくない!〜辞書編集の現場から〜

「辞書との最初の
付き合い方を知ってほしい」

「子供たちにまず伝えたいのは知っている言葉を引いて
みること。辞典に載っている内容が思っていたのと少し違うとか、他にも意味があるという発見があります。そんな辞典の中に、自分の名前もあったらわくわくするでしょう?」と、この特別版に込めた想いを語るのは辞書編集ひと筋44年、小学館『日本国語大辞典』元編集長の神永曉さん。

辞書編集者
神永 曉 (かみなが さとる)
1956年千葉県生まれ。元小学館・辞典編集部編集長。入社以来定年後の現在に至るまで44年間、辞書ひと筋。担当した主な辞典は『日本国語大辞典 第二版』『現代国語例解辞典』『使い方のわかる類語例解辞典』『美しい日本語の辞典』など多数。著書に『悩ましい国語辞典』『さらに悩ましい国語辞典』『やっぱり悩ましい国語辞典』『辞書編集者が選ぶ 美しい日本語101』『辞書編集、三十七年』などがある。
国語辞典のレジェンドが教える「辞書の見方が変わる」深い話
web連載『日本語どうでしょう』

秘話1

オンデマンド印刷による『きみの名前がひける国語辞典』は、もともと販売用に作られたものではなかった。じつは2013年に発売された『ドラえもん はじめての国語辞典』の発売一周年を記念する販促キャンペーンのプレゼント企画として始まったものだった。
これは応募者の中から抽選で100名に自分の名前が引ける『ドラえもん はじめての国語辞典』を贈呈するというもので、8000名を超える応募があったという。
「このプレゼント企画で終わらせてはもったいない」と考えた大野さんは人事部にかけあい、予算をもらって、2015年3月から小学館社員のこどもたち向けに名前入り辞書の制作を始めた。以来、毎年、大野さんは小学校入学祝いのプレゼント品として、名前入り辞書を作り続けてきた。文字の入れ方や造本、データの受け渡しなどの課題を洗い出し、一つ一つクリアしながら、いつかは市販化をしたいと願って企画を温めていたという。

秘話2

かみながさとる 【神永 曉】
二月十一日生まれ。日本酒と日本の旅と日本語をこよなく愛する「歩くディスカバー・ジャパン」男。得意曲は「いい日旅立ち」。トラキチ。

そして2017年2月、今回の企画でも辞書編集を担当する、当時の小学館・辞書編集室編集長・神永さんの小学館定年祝いとしても名前入り辞典は作成された。上写真は「ドラえもん はじめての国語辞典」に掲載された「神永曉」の項目だ。この語釈を書いたのは神永さんの同僚である。
「カラオケの十八番が書いてありますが、語釈としては納得していません。阪神タイガースファンなのは事実ですけれど…」と笑顔で語る神永さん。辞書編集に携わって44年目を迎える「辞書編集のレジェンド」も、まさか自分の名前が辞書に掲載される日がくるとは想像もしていなかったそうだ。
2021年11月に『小学館はじめての国語辞典』が発売。
その後、2021年6月にランドセルメーカー・セイバンとのコラボ企画で、「小学一年生」の年間定期購読とセットという条件で、『きみの名前がひける国語辞典』を販売。当時は3万円という価格にもかかわらず、約100冊の注文をいただいたという。
そしてブラッシュアップをさらに重ね、今回単品での一般販売がついにスタートすることとなった。

制作過程その1

小学館・辞書編集室のプロ集団が
丁寧に編集・校正

まず、最初にお客様がオーダーフォームに登録した「名前の表記」「名前の読み」「誕生日」、そして40文字以内の「紹介文」を、プロの辞書編集者が誤字・脱字がないかチェックして、文章のすべての漢字に「ふりがな」を付ける。さらに、感嘆符「!」や疑問符「?」のあとは、必ず一文字分スペースを空けるといった辞書編集の決まり事に従って、掲載するにふさわしい文章に整える(編集)。

「お客様の原稿に手作業で
ふりがなを付け、体裁を整えます」

お客様の原稿に書き入れた、プロの辞書編集者による校正赤字とふりがな。このチェックを経た原稿が最終的に『きみの名前がひける国語辞典』に掲載されることになる。

一見手書きでアナログな作業に見えるが、いくらデジタルが進歩したとはいえ、よみがなを振ったり字数を数えたりと、結局はこのやり方が一番早く、正確で確実と大野さん・神永さん。

制作過程その2

まるで最初から国語辞典に載っていたような自然なレイアウト

完成した原稿は、個人名(下の名)の読みに従って的確な位置に挿入される。『きみの名前がひける国語辞典』では、どんな名前でも適正な位置に掲載することが可能だ。
ベースとなる『はじめての国語辞典』は、ページの最終行まできちんと文章が収まっている。この中に新たな3行を追加することになるが、他のページに影響が出ないように、このページ内だけの調整で完結させなければならない。他の収録語の行数を調整するなど、言葉の意味が変わらないように細心の注意を払いながら編集していく。これはまさに辞書編集のプロだけがなせる技術である。

辞書は出版されるまでに、幾度も校正・校閲を繰り返す。今回の企画では、編集長の大野さんと神永さん、そして長年小学館の辞書編集で校正・校閲を担当してきた専門のベテランスタッフ数名による、念入りなチェック体制を用意する。

制作過程その3

オンデマンド印刷と専用の製本作業を経て
『きみの名前がひける国語辞典』が完成!

辞書編集室と大日本印刷が10年かけて共同開発した仕組みで印刷・製本。世界に一冊だけの特別版『きみの名前がひける国語辞典』が完成する。通常版『小学館 はじめての国語辞典』の表紙は赤茶色だが、この特別版は10色から自由に選ぶことができるので、よりスペシャルな仕上がりを実感できる。さらに巻末の奥付(編者や発行者が記されるページ)にも子供の名前が入る特別仕様となる。

「偉そうな顔をしていない辞典が
作りたくて、こんな装丁にデザインしました」

「小学校低学年は、自分が知っている言葉を引く年齢です。知っている言葉の正しい情報と、それに加えて知識が広がるように編集しています」と語る編集長の大野さん。

「自分の言葉の友達として、
身近なところに置いてほしい辞典です」

「この国語辞典の収録語は、子供たちの身のまわりで使われている言葉が中心。テレビや季節の言葉も詳しかったりします。子供が辞書に興味を持つきっかけになってくれればうれしいですよね」と話す元辞書編集室編集長で辞書編集者の神永さん。

サプライズと喜びに満ちたギフト お客様の声

自分の名前を何度も引いていました

無事に我が家に特別な辞書が届きました。まさかまさかと、驚くやらうれしいやらで、はじめは親の私の方がテンション上がりました。娘に説明したら、ニヤニヤしながら自分の名前を何度も引いていました。辞書を引くこと自体がはじめてで、そこに自分の名前が載っているなんて、なんて素敵なことでしょう。これを機に、どんどん言葉に興味を持ってくれたらと思います。

漢字に読みがながふってあるので、
すらすら読めるのがうれしいようです

主人と子供と私でドキドキしながら開封し、3人で記念写真を撮りました。5歳の娘はお父さんと一緒にいくつか言葉を調べたあと、辞書は自分のものだと知って、うれしそうに「勉強する!」と言ってノートとペンを用意していました。家にあった古い辞書とは違って漢字に読みがながふってあるので、すらすら読めるのがうれしいようです。子供の辞書の購入はまだ先と思っていましたが、素晴らしい記念になりました。

自分の名前が載っている辞書に
大興奮しています

届いたものを見た瞬間から、子供のテンションが上がりまくりです。辞書への憧れがあったようなので、自分の名前が載っている辞書に大興奮しています。自分のことが書かれているのがうれしいようで「すごいねんで!」を連発していました。イラストで描かれた楽器を見て「これ何?」と初めて見る楽器に興味を示したり、これこそ辞書の面白さですね。

「子供さんの名前だけでなく、思ってもなかった需要がありました」

自分の名前が載っている辞典を手にした子供たちが喜ぶ様子は、この他にも数多く編集部に寄せられている。また、名前入りの辞書を贈られて喜ぶのは、子供だけではない。「これまで本サービスを利用された方の中には、お父さんのために作りたいとか、亡くなった奥様の思い出に作りたいという方もいらっしゃいました。思ってもなかった需要がありました」(編集長・大野さん)。他にも自分用に作りたいという方もいたそうだ。

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