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共同印刷

ヨハネス・フェルメール「牛乳を注ぐ女」額装

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「フェルメールブルー」をラピスラズリを含む顔料を使い完全再現

 テーブルの上の、命の糧のシンボルともいうべきパンの乾いた、固い質感(手触り)と、様々なサイズ、形のパンの「表情」もこの絵の見所のひとつである。彼女の右後方、壁に近いところには足温器(アンカ)が置かれているが、こうした描写には作品の芸術的な価値とは別に、民衆がいかに生きたか、暮らしたかを知る史料としての価値もある。(中略)
 フェルメールは「光の画家」とも呼ばれるようにデリケートな光の描写にも優れた画家であった。夜の時間帯を描かなかったフェルメールの光は、ここにあるように、常に窓を通した昼の光である。それも北の国オランダらしい、穏やかとも鈍いとも言える光である。掃除がゆき届いた居間や客間を描いたフェルメールの他の室内画の窓と違い、メードのための狭く殺風景な部屋の窓は埃のたまった曇りガラスのようで、小さく割れた部分もある。ここにあるのは印象派風のまばゆい直射日光ではなく、フィルターにかけられた穏やかな「北の光」で、フェルメールの絵に特有の静謐感もこうした光に負う部分が大きいと言えよう。
(付属解説書より一部抜粋)
(千足伸行 美術史家/成城大学名誉教授・広島県立美術館館長)


【時を忘れて沈黙へと誘う、謎につつまれた珠玉の名画】
フェルメールの絵画は、穏やかな光、巧妙な構図など、思わず見入ってしまう要素が随所に散りばめられその魅力は尽きることがない。絵画が何を伝えようとしているのか、まるで、そこから物語を想像することを私たちに求めているかのようにひとつひとつが語り掛けてくる。本作は17世紀オランダの時代背景や精神文化が感じられる貴重な作品であり、寡作であったフェルメール作品の中でも、特に称讃されている珠玉の名画であることは、もはやいうまでもない。


【フェルメール・ブルー】
フェルメール独特の深く鮮やかな“青”は、ラピスラズリを原料とする絵具「ウルトラマリンブルー(海を越える青)」が使用されている。当時、ラピスラズリはアフガニスタン、その周辺で産出された稀少な鉱物で、地中海を渡り輸入された、金にも匹敵する大変高価な顔料。また青は高い精神性を表し、「天空の色」として人々が憧れる美しい高貴な色だったともいえる。そのあまりにも美しい青は、“フェルメール・ブルー”と呼ばれている。


【本複製品の特徴】
・アムステルダム国立美術館が提供する正式画像をもとに、彩美版®にて再現。
・千足伸行氏(美術史家/成城大学名誉教授・広島県立美術館館長)の監修を得て制作。また、同氏による詳細な作品解説が添付される。
・最新の複製技術「彩美版®」により、質感や濃淡の深みなど微細な表現にいたるまで再現。天然ラピスラズリを一部使用。職人によるシルクスクリーン手刷りを施し、色鮮やかで格調高い仕上がりが実現。
・熟練した職人技術によるハンドメイド仕上げ、安心の国内生産による額を採用。落ち着いた雰囲気の古美加工を施したアンティーク調の額が、より一層フェルメールの世界観を引き立てる。


【彩美版®とは】
画材の質感と豊かな色調を再現するために生み出された新時代の画期的な技法による複製画。本作の制作においては、所蔵先のアムステルダム国立美術館より正式に提供された画像データを使用し、彩美版の特徴である最新デジタル加工処理技術と高精度プリント、さらには一枚一枚職人の手刷りによるシルクスクリーンを加え、「牛乳を注ぐ女」に表された豊かな色彩やフェルメールの筆遣い、原画の持つ絵の鼓動までをも表現した。「彩美版®」は共同印刷株式会社の登録商標です。


【千足伸行・せんぞくのぶゆき】
東京都出身、1940年生まれ。東京大学文学部卒業後、TBSを経て国立西洋美術館に勤務。現在、成城大学名誉教授および広島県立美術館館長。主な企画展覧会に「フェルメール展」(2018年)、「英国 ウェールズ国立美術館所蔵 ターナーからモネへ」(2017年)等。主な著書に『ゴッホを旅する』(2015年)等。


【フェルメール年譜】
1632年 10月31日、現オランダのデルフト新教会で洗礼を受ける。父レイニール・ヤン
スゾーンは宿屋を所有、画商も営む。
1652年 カタリーナ・ボルネスと結婚。画家の親方(マイスター)となる。
1658-59年 この頃、本作「牛乳を注ぐ女」制作。
1667年 「デルフト市誌」の中で、画家ファブリティウス(レンブラントの弟子)の後継
者として、フェルメールが称讃される。
1675年 12月16日、デルフトの旧教会で埋葬(享年43)。
2007年 『フェルメール「牛乳を注ぐ女」とオランダ風俗画展』(国立新美術館)にて、「牛乳を注ぐ女」日本初公開。
2018年 『フェルメール展』(上野の森美術館)で「牛乳を注ぐ女」公開。
縦53.1×横48.7cm。画寸は縦41×横36.6cm(原画の90%大)。額縁は木製額(金箔貼りハンドメイド仕上げ)、アクリルガラス。差し箱。用紙はキャンバス。技法は彩美版®シルクスクリーン手刷り(天然ラピスラズリ使用)。監修は成城大学教授および広島県立美術館館長の千足伸行氏。日本製。

※掲載しております所属や肩書は発刊当時のものとなります。