世の中の書物は内容重視で、読みやすさを考えていない。どこぞの大物俳優が大声で叫びそうなセリフだが、そう確信したくなるほどに文字が小さい本は多い。読みにくい文章を読むのは、内容に興味をそそられたといえ、そこそこパワーが必要となる作業だ。そこでご紹介したいのが、本に置いた様も美しい、このアルミニウム製のルーペである。
本品は、昭和38年に金属加工が盛んな新潟県燕市で創業し、高度な切削技術と加工技術を持つ金属加工メーカー「株式会社タケダ」と、大手家電メーカーを経てフリーランスの工業デザイナーとして活躍する秋田道夫氏による「タケダデザインプロジェクト」の製品。エレガントな立ち姿が印象的なアーチ状の脚のデザインは、ルーペ内に光を最大限に取り込む機能的な意匠。せっかく2.5倍に拡大された文字も、紙面に暗く沈んでいては意味がない。明るく快適な視界を実現し、我々に再び本を読みあさる機会を提案してくれる、知性からの贈り物である。
凛としたマット仕上げの本体はアルミニウムを精密に切削しており、丈夫かつ軽量。持ち歩きも容易である。さらにアーチの隙間からピンセットなどを使用することもでき、ホビーなど緻密な作業にも役立つスグレモノだ。