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大人の逸品Blog

BAR CINEMA~この映画に乾杯!(第9回)『最強のふたり』 ――男がときめくマセラティの魔力

カテゴリ | BAR CINEMA~この映画に乾杯!

第9回:最強のふたり――男がときめくマセラティの魔力

BAR CINEMAへようこそ。

このバーでは、皆さまの記憶に残る映画の名シーンを彩った素敵なお酒を、映画の時代背景、お酒の由緒・成り立ちと合わせてご紹介し、ご賞味いただきます。

新年、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

ちょっと間が空いてしまいましたが、バー・シネマ9回目の今回は特別編としてクルマをテーマにし、バーから外に出てドライブに出掛けました。
題材は2011年に公開されたフランス映画「最強のふたり」(日本では2012年公開、原題:Intochables)。
パラグライダーの事故で首から下が麻痺し、体を動かせなくなった大富豪フィリップ(フランソワ・クリュゼ)と、彼の介護をすることになったスラム出身の黒人ドリス(オマール・シー)の、出自と境遇を越えた友情を描いた作品です。
今回の特別編は、バーテンダー・亀島と当コラム担当編集・細川の対談形式でおおくりします。

亀島 当コラムも9回目を迎え、いくらお酒好きの細川、亀島といえども、たまには外の空気が吸いたい! ということで、酒のほかに男のダンディズムに欠かせないモノを考えました。そうです、クルマです。
そして、久しぶりに笑えて泣ける映画に出会いました! 実話にもとづくフランス映画ということで、地味な話かなと思ってDVDを観たら、冒頭にマセラティによる疾走シーンあり、パラグライダーで空を舞うシーンあり、はたまたオペラ「魔笛」を鑑賞しに出掛けたり、自宅にオーケストラをよんで演奏させたりと、イベントは盛りだくさんで、ゴージャス!
その中で、主人公ふたりの笑顔がとても印象的でした。体を動かすことができず、介護してもらわなければならないこと、またそのことで同情されることが嫌で気難しくなっているフィリップに対し、ずけずけとものを言い、ふてぶてしく振る舞うドリス。まったく共通点のないふたりが互いに共感していく中で見せる笑顔が、ほんとうに素敵でした。

細川 体の障害をネタに笑いをとるって、今の日本人の発想ではあり得ないと思うのですが、この映画ではまったく嫌悪感を残さずに楽しいエピソードにしているのがすごいですよね。僕の大好きな、勝新太郎主演の「座頭市」に何か通じるものがある(笑い)。
ドリスのトークは下ネタばかりで、フィリップに今のSEX事情を聞き、耳が性感帯だと知るや、売春婦をよんで彼の耳をいじらせる。さらにマリファナを勧める。モラルの観点からは完全にNGですけど、ふたりはすごく楽しそうです。男の子たちが悪巧み(いたずら)を共有することで仲良くなっていく、そんな感じがよく表れていました。
しだい深まるふたりの絆。言ったことはやり遂げる。言葉にせずとも互いに信じあえる。これまた僕が大好きなハードボイルド小説スペンサーシリーズ(ロバート・パーカー著)の主人公スペンサーと黒人の相棒ホークの関係を彷彿とさせて、男同士の関係の理想像を見た気がします。
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    ■マセラティのサウンドにときめく

    亀島 さて、今回のテーマ=クルマについてです。クルマは男にとっての最高の遊び道具というか、クルマの選び方でその人の個性や考え方が見えてきますよね。フィリップのクルマはマセラティ「クワトロポルテ」でした。
    初めてドリスがフィップを外に連れ出すとき、スタッフが広い玄関先においてあるバンに乗せようとするけれど、ドリスは「馬みたいに荷台に載せろと?」と抵抗する。その横にはカバーがかけられたままのクワトロポルテがあり、ドリスが「こっちは?」と聞くと、フィリップは「対応していない」「実用的でないということだ」と返す。

    細川 確かに車椅子が必要な今のフィリップにはスポーツカーは「実用的」ではないけれど、あえてドリスはフィリップを抱きかかえて助手席に座らせます。

    亀島 そしてエンジン始動。マセラティ独特のエンジンの咆哮にドリスは驚き、満面の笑顔で「すげえ」「この音たまらない」と、フィリップを振り返る。「だろ?」とこたえるフィリップにも自然と笑みがこぼれる。
    このシーンにはしびれちゃいました。この音をぜひ体験してみたい! ということで、今回のマセラティ試乗ツアーとなったわけですね。

    細川 僕もこのツアーは楽しみにしていました。なにせ、僕の試乗経験の中でクワトロポルテは「エロいクルマ選手権No.1」に君臨している、大好きなクルマです。初めて乗ったときはあのエンジン音だけで、おしっこチビリそうなくらいに興奮してしまいました!
    でも、今回拝借してきたのはクワトロポルテではなくて、マセラティの最新車種「ギブリ」です。3リッターV6エンジンを搭載するスポーツセダンで、価格はなんと税込み895万円!(税込、2015年1月5日現在) 安い!! マセラティとしては初の3桁万円で買えるクルマです。
    マセラティは2014年、誕生100周年を迎えたのですが、この記念すべき年に、日本での販売台数が1400台を超えました(2013年の販売台数は500台弱だからほぼ3倍!)。好調な販売を牽引したのがこのギブリなのです。ということは、5年後くらいに中古車市場に出回り、僕でも買える値段になっているかもしれない!? そんな庶民的な妄想を抱かせてくれるクルマです(笑い)。
    では、さっそく出掛けましょう! 目的地は千葉の外房、時期外れの御宿ですよ(※試乗は昨年11月に実施)。

    亀島 (クルマが走り出すと)やはり、しびれますね~。エンジンをかけると映画と同じ音が聞こえてきますよ。さっき、細川さんが我が家の前に止まったときも、この独特のサウンドを聞いて、「アクセル踏んでるの?」って聞いちゃいましたもんね。音がデカイというか、ほんと、いい音ですね。

    細川 僕は昨日からこのクルマを借りて運転していたのですが、数年前に乗ったクワトロポルテとはずいぶんイメージが違って、かなり大人しくなったなって思っていました。でも、運転2日目になって、やっぱりマセラティだなって感じが、沸々と湧いてきました。スポーツカーとしての100年の歴史がDNAに組み込まれているのか、ギブリもやっぱり刺激的でエロく、官能的なんですよ。
    たとえると、クワトロポルテは一目惚れするほど圧倒的な魅力を持つ貴婦人。でも、じゃじゃ馬で手間もお金もかかる小悪魔な感じ。ギブリはお金持ちだけど親しみやすくて、付き合うほどに新しい魅力を発見できる女性っていうイメージ。わかりにくいかな……。
    そうだ、ちょっとスピードメーターの中を見てみてください。平均燃費がでているでしょ。

    亀島 うわっ、リッター13.5キロって、うちの某ドイツ車より燃費がいいですよ。うちのクルマ、エンジンは2リッターなのに。

    細川 ねっ、派手すぎず、知的で綺麗で、庶民的ではないにしてもお金をむしり取られずにすむような安心感がありませんか(笑い)。

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    ■マセラティの魅力は数値では表せない

    細川 ところで、さっきの「音の話」ですが、マセラティはエンジン音のデザインにすごく力を入れていて、2012年末に、マセラティのエンジン音はバイオリンの名器「ストラディバリウス」と多くの共通点を持っているという研究結果を発表しました。要点をまとめると、
    ●迫力があり、想像力をかき立てる
    ●脳を活性化させる効果がある
    クルマというと、やれ排気量が、馬力が、という数値の話になりがちですが、マセラティには数値では表現できない魅力があるんだと思うのです。

    亀島 それはわかる気がします。映画ではやんちゃなクルマなイメージがありましたが、乗ってみると意外と上品。足廻りも緩やかで街乗りも苦じゃないですね。そして、直線でアクセルを踏むとクルマが喜んでいるのがわかる。楽~にスピードにのっていくけど、加速時のGが楽しい。しかも、そのままカーブに入っていってもキツくない。クルマに乗る楽しさがよくわかるし、助手席に乗っていても楽しいですよね。

    細川 フランス人の富豪であるフィリップがなぜフランス車ではなく、イタリア車であるクワトロポルテを選んだのか、なんとなく想像できますよね。マセラティは享楽的なクルマだと思うのですが、かといって教養のない成金が乗るクルマではない。フィリップのように美術や音楽、文学に造詣が深く、知的なのにパラグライダーに夢中になるような冒険心を忘れない、そんな洗練された金持ちが乗っているからこそ、様になるクルマなのだと思うんです。

    亀島 確かに。乗る人を選ぶクルマな気がしますよね。いくら高価な一着だったとしても、ジャージ姿でこのクルマには乗ってはいけませんよね(笑い)。

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    ■マセラティは実用的なクルマ!?

    細川 さて、最後にこのクルマの実用性について考えてみましょう。クワトロポルテという名前はそのまま「4ドア」という意味ですが、このギブリも4ドアで、家族で使うにも便利そうです。フィリップにとっては「実用的でない」かもしれませんが、そういう彼自身、クワトロポルテに乗せられてからは実に楽しそうでしたし、不便もなかったように見えましたよね。

    亀島 せっかくだから、試しにフィリップみたいに寝てみますね。おっ、かなりフラットになって、飛行機のファーストクラスみたいですよ。僕は乗ったことがないので、あくまで想像ですけど(笑い)。

    細川 僕もファーストクラス未経験だから、わからないです。

    亀島 いずれにしろ、かなり快適ですよ。シート自体、かなりゴージャスだし。確かにミニバンやワンボックスカーのような“実用性”からはかけ離れているけど、そんなこと言ったら車自体に意味がないと思うんですよ。速かったり、広かったりという、ただ単に使い勝手だけじゃない部分に男は惹かれるんですよね~。

    細川 そのとおり! 車椅子のまま乗れる“実用的”なクルマに乗ったっところで、フィリップが笑顔になったとは思えません。作家の村上龍氏が、「クルマは便利だから普及したのではなくて、乗ること自体が快楽だから普及したんだ」みたいなことをかつて書いていらっしゃいましたが、僕もまったく同感です。乗って、アクセルを踏んで、それだけで笑ってしまう。今、僕、仕事がメチャクチャ辛いので、このクルマは僕の病んだ心にとっては、ストレス解消という意味を含めてすごく“実用性”が高いのです!(笑い)

    亀島 それに、セコい言い方ですが、乗っていると自意識がくすぐられるというか、優越感みたいなものを感じますよね。これが100年の伝統を誇るブランドの力なのでしょう。そしてとにかく、このクルマに乗っていると、周りからすごく見られますよね。赤信号のときもそうだし、さっき浜辺でクルマを止めたときも、歩いているおじさんが振り返って見ていました。でも、我々ではかなり荷が思いというか、クルマに比べて、我々、見劣りしてますよね(涙)。せめて隣が細川さんじゃなくて、綺麗な女性ならよかった……。どう見ても、「最弱のふたり」ないしは「貧相なふたり」ですもんね。

    細川 ……同感です。我々もクルマ云々より前に、自分磨きに精を出さないといけないですね。

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