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BAR CINEMA~この映画に乾杯!(第13回)『ゴッドファーザー』 ――謎に包まれた出生、映画には登場しないのに有名なカクテル

カテゴリ | BAR CINEMA~この映画に乾杯!

第13回:ゴッドファーザー
謎に包まれた出生、映画には登場しないのに有名なカクテル

半年もご無沙汰してしまいまして……、あらためましてBAR CINEMA、再開でございます。

このバーでは、皆さまの記憶に残る映画の名シーンを彩った素敵なお酒を、映画の時代背景、お酒の由緒・成り立ちと合わせてご紹介し、ご賞味いただきます。

ウイスキーベースのカクテル「ゴッドファーザー」。写真左後ろのボトルはブレンデットスコッチのディンプル、右後ろがイタリアのリキュール、アマレット。

ヴィトー:I like to drink wine more than I used to. Anyway, I’m drinking more.
マイケル:It’s good for you, pop.

あまりにも有名な映画『ゴッドファーザー』。イタリア系アメリカ人でマフィアのドン、ヴィトー・コルレオーネの半生を描いたこの映画は1972年に公開され大ヒット。数々の賞を受賞し、その後、1974年にパート2が、1990年にパート3が公開されました。
この映画の内容については素人の私が申し上げるものでもないと思いますので、今回はいきなりお酒の話から始めます。

■誕生の由来不明のカクテル「ゴッドファーザー」

映画好き、お酒好きの皆さんは「ゴッドファーザー」というカクテルをすでにご存じでしょう。今回、当コラムをまとめるにあたり、このカクテルの成り立ちをあらためて調べてみたのですが、残念ながら(驚いたことに)レシピが作られた年も作者も特定できませんでした。元全日本バーテンダー協会理事・福西英三先生の著書(『カクテルズ』ナツメ社・刊)によると、「1980年代前半に発表」となっているので、映画のパート2が公開されて以降に作られたレシピのようです。

ですから、映画の中に「ゴッドファーザー」という名のカクテルは出てきませんし、レシピのヒントになるようなお酒も出てきません。
カクテルの「ゴッドファーザー」はIBA国際バーテンダー協会のオフィシャルレシピになっていて、世界各国で作られているのですが、意外にも世界的に有名な『サヴォイ カクテルブック』にはレシピが掲載されていません。いよいよミステリアスですね。

さて、このカクテルの作り方です。
レシピだけを見ると、氷を入れたロックグラスにウイスキー45mlとアマレット15mlを注ぎ、かるく混ぜるだけ。
このように、グラスに直接、材料と氷を入れてバースプーンで混ぜる方法を「ビルド」といいます。しかし当店ではマティーニやマンハッタンのように、ミキシンググラスを使って氷と材料を混ぜ合わせる「ステア」という手法で作ります。このほうが氷にかかる負担が少なく、お酒が緩まないのです。
もちろん、ご家庭では気軽にビルドで試してみてください。

ウイスキーはスコッチでもバーボンでも、とよく書かれていますが、IBAのレシピや、一部のカクテルブックではスコッチウイスキーと明記してあります。
では、なぜスコッチウイスキーなのでしょうか?
このカクテルの創作者の意図を想像するに、アメリカの禁酒法時代(1920~1933年)のマフィアたちの暗躍が背景になっているのだろうと思います。この時期に彼らは粗悪な酒には目もくれず、本物のスコッチウイスキーを密輸したと言われています。ウイスキーの密輸は高価な取引ができたそうで、マフィアたちは大金をつかみ、政界財界とつながって地位を確立していったようです。
ちなみに、映画『ゴッドファーザー』の舞台は1940年代後半のニューヨークです。

一方、アマレットはほんのり甘い、イタリアを代表するリキュールです。杏(あんず)の種=杏仁(あんにん)を原料にして作られます。杏の実(果肉)を原料にして作るアプリコットリキュールとはまったく違うもので、アーモンドのような香り、まさに杏仁豆腐の味わいです。
このカクテルの創作者は、このリキュールを使うことで、イタリア系マフィアをイメージさせているのでしょう。

今回、このカクテルをご紹介するにあたり、映画にふさわしいレシピを私なりに考えてみました。それがこれです。
ディンプル 50ml
アマレット(ディ サローノ)10ml
ステアして氷を入れたロックグラスへ。

ディンプルは、1890年にスコッチウイスキーの父と言ってもよいジョン・ヘイグによって作られた、由緒正しいブレンデットスコッチウイスキーです。彼の妻も業界には欠かせない連続式蒸留機を発明したスタイン家ゆかりの人だそうです。
ボトルの形状が変わっていて、瓶の胴部分に3つのくぼみ(ディンプル)があります。さらに胴部にワイヤーが巻いてありますが、これは昔、輸出中にコルク栓が飛んで中身が出てしまわないようにしてあった名残だとか。
見た目のインパクトと、熟成させた原酒を使ったまろやかな味わいは、ドンのような深みのある大人にふさわしいと思います。

また、映画「ゴットファーザー」のロゴは操り人形の糸をモチーフにしていますが、何か大きなものに操られた人々と、ディンプルのボトルに巻き付けられたワイヤーが、ちょっとイメージが近いかなと。これはこじつけが過ぎますかね(笑い)。
なお、副材料のアマレットは最も有名な銘柄のディ サローノを使います。

映画でも(会話の中だけですが)登場するスコッチウイスキーと、主人公のルーツ=イタリアで産するリキュールのマッチング。アルコールは強いけれど、ほんのり甘いこのカクテルは、まさにイタリアマフィアの男としての強さと家族に対する深い愛情をみごとに表現していると思います。スコッチウイスキーのかすかにスモーキーな香りが鼻から抜けていくと同時に、アマレットの風味と甘味が優しく口中を満たします。

このカクテルは、ベースのスコッチウイスキーの銘柄を変えて作ると、また違う味わいになるので、いろいろと試してみてください。塩味の効いたタリスカーをキーモルトにしたジョニーウォーカーをベースにしたり、シングルモルトの優しいものにスモーキーなアイラモルトを少し垂らしたりと、いろいろ遊べるカクテルです。

また、ベースのスコッチウイスキーをブランデーに変えると「フレンチコネクション」というカクテルになります。これもゴッドファーザーと同様、映画のタイトルにちなんで作られたカクテルで、ゴッドファーザー・カクテルを元に創作されたものだろうと思います(このカクテルの成り立ちもわかりませんでした)。ちなみに、この映画はニューヨーク市警察の刑事がフランスからの麻薬密輸ルートを追うサスペンスドラマで、1971年に制作されています。
そしてカクテルの「フレンチコネクション」の味わいですが、ゴッドファーザーよりもさらにマイルドになります。
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    カクテル「フレンチコネクション」。当店でのレシピは、ブランデー(コニャックの『ヘネシーVS 』〈写真左後ろ〉)52ml、アマレット8ml〈写真右後ろ〉、ステアして氷を入れたロックグラスに注ぐ。アマレット8mlって、かなり細かいのですが、ブランデーはスコッチウイスキーより少し甘くなりますから、アマレットで調整しているのです。このレシピだと男の甘くハードな感じが味わえると思いますよ。もちろん、甘めがお好きな方はアマレットの割合を増やしてください。

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    イタリア・シチリア島で造られるワイン「チェラスオーロ ディ ビットリア」。
    ブドウ品種はネッロダーボラ60%、フラッパート40%。

酒を彩る器
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