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ニッポンの職人伝 第1回:細野商店 三代目 細野昌昭さん

カテゴリ | ニッポンの職人伝

105年、三代に渡り革新し続ける「細野」

東京都台東区、日本で2番目に古い商店街・佐竹商店街に「工房HOSONO」はある。大正元年に創業し、綿帆布を使った鞄のブランドとして有名な「細野商店」の工房兼ショップである。

三代目・細野昌昭さんが小学生だったころの工房は、現在とは違う自宅を兼ねたものだった。玄関から5mほどの土間があり、ミシンの並んだ板敷きの工房に続く通路を通って毎日通学する。「物心ついたときから、いつもミシンの音が聞こえていた。いつか自分もこの仕事をするとは思っていましたね」と、昌昭さんは思い出す。
  • ニッポンの職人伝 第1回:細野商店 三代目 細野昌昭さん

    ひとりの職人がひとつの製品を責任を持って仕上げる。105年にわたって培った技術によってブランドの信頼は得られるのだ。

    先代の父・博吉氏の方針により、大学卒業後はまず小売店を回ってユーザーの声を聞き、機織り屋や染色屋を回って、ものを作るよりも知ることから学ぶ。細野商店のポリシーである「ひとつの製品をひとりの職人が作る」ことを任されるまでに、10年かかった。
    「初代のじいさんは人力車の幌など、働く道具を作りました。先代の父はテントやザックなどの登山用品。僕は普段使いで実用的な鞄を作ろうと思った」。現在は四代目がものを知る修行に駆け回っているが、「三代それぞれが新しい細野を作ってきた。ブランドを築くには、真面目に、嘘をつかずにものを作り続けることが大事」と語る昌昭さんは、次代の新しい細野を楽しみにしながら、今日も朝7時から工房でミシンに向かう。

  • ニッポンの職人伝 第1回:細野商店 三代目 細野昌昭さん

    「タン!」とハトメを打つ金槌の音も小気味よく、何十年と積み重ねた作業は正確かつスピーディに行なわれる。

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    「細野商店」が104年に渡る歴史を積み上げることができたのは、時代の流れとニーズを掴んで、新たな試みを続けてきたからであろう。
    昌昭氏が社長に就任した平成7年当時、「細野商店」が扱う帆布のカラーは、グリーン、ベージュ、グレーの3色しかなかった。普段使いの鞄という新しい製品を作っていくにあたり、販売店の「もっとカラフルな商品展開を」という要望を受けて、現在では18色まで生地色を増やし、また単色だけではなくコンビカラーの製品も展開している。
    工房には様々な道具や部品、素材があふれている。アンティーク家具のような味わいを見せる古いビールの木箱が無造作に置かれていると思えば、傷んでは新しいものに取り替えていく工具など、新旧入り混じった作業場。
    ここには洒落っ気よりも、もの作りだけを考えたリアルな現場の空気がたたずんでいる。

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     あえて機械による量産体制は取らず、創業当時からのポリシーである「ひとりの職人がひとつの製品を仕上げる」ことを貫く。
    ゆえに昌昭氏は早朝7時からミシンに向かい、職人たちもフル稼働して、ひとつひとつの製品を仕上げていく。「お客さんがボロボロになった鞄を持ってきて、修理してほしい、と言われることがある。20年も使うとさすがに痛むし、中に入れているものによっては鞄そのものが変形していることもある。修理が難しいときには同じものを注文くださるのですが、すぐにまったく同じものを作るのは難しい」まさに嬉しい悲鳴をあげる昌昭氏だが、「細野商店」の製品バリエーションは数百種類以上におよび、その正確な数はすでにわからない状態になっている。つまり、元の鞄の形を調べることも大変なのだ。「そんな時は少し時間をもらって、資料を探すのですが、これが膨大な量なので大変です」と笑う昌昭氏。
    「細野商店」の鞄は、直したいと思ったときには素早く決断したほうがよさそうだ。

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     地球環境にやさしい天然繊維の綿帆布を、職人の手作業によって機能性と耐久性に優れた鞄に仕上げる「細野商店」。 三代目・細野昌昭氏は言う。
    「この辺りは昔から町工場が多いが、それもだんだん減ってきている。その原因はもちろん後継者不足もあるだろうが、それ以上にブランドを築いているかどうかが重要です。ただ注文を受けたモノを作る、という仕事ではブランドは築けない。100年以上商売をしていれば、人の一生と同じでいい時もあれば悪い時もある。悪い時にどう耐えて、また良くしていくかが大事です」大量生産、大量消費の世の中で、あえて少人数での手作り鞄工房が成り立つのは、一種のミステリーにも見える。
    しかし、それは確かな製品作りという自信を持つブランドにとっては自然なことである。「100年以上続いた技術の蓄積に基づいたもの作りをしていかなきゃいけない。同時に三代でそれぞれが新しい『細野商店』を作ってきた。ブランドを築くには、真面目に、嘘をつかずにモノを作り続けることが大事。若い人たちに新しい細野を作ってほしいですね」

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